ご主人様は最強で

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「ねぇ、あれは?」  顎を肩に乗せたミューが指を指しながら聞く。憶測でしかないがおそらくは―― 「――盗賊、ですかね?」  盗賊(仮)達はスピードを下げる事なく走り続け、僕らの数メートル前で急ブレーキをかけた。魔力供給を止め、止まった魔動ジープから数人のいかつい男達が降りてくる。  人を見掛けで判断するのは余り好きではないが、この人達の顔つきや服装、手に持っている拳銃などの武器を見るととても一般人には見えない。  その総勢九人の男の中から一人、リーダー格らしき男が僕らの前に立った。ご丁寧にも銃口をこちらに向けて。 「用件は分かるよな?」  正直分かりたくない。ほら、人見知りするご主人様が居るんだから、さっさとどこかに行ってくれ。 「んー……? まぁいい。荷物と……あぁその女もだ。置いていけ」  ぎゅっと首に回る腕に力が籠ったのが分かる。最強に近い力を持っているくせに、人が相手だと途端に恐がりになる。それにこの子はお前らの手に負える子じゃないぞ? それに……僕がこの子とは一緒に居たいしね。  だから、 「嫌、です」
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