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「まひるちゃん、手伝いなんてしないで休んでくれていいのよ。」
私、成井まひるは万那瀬家の一人息子である万那瀬羽音と親しくなり、行く宛ての曖昧な私をこの豪華絢爛と言うのに相応しい彼の家に住み込みで働かせてもらっている。
日本庭園や温泉なども設備され一般階級でない事は見ての通りだ。
「ねぇ、川井さん。
羽音凄く忙しそう。
部屋に何十時間も立て込んでるし、寝るのも深夜だし。私が来る前からなの?」
「そうでもなかったわ。
最近は以前よりも稽古が増えたし大変だと思う。
けど羽音様は何も考えずに無責任な行動に走るような方ではないもの。
きっと率なく熟していらっしゃるんじゃないかしら」
最後の方は私への川井さんのフォローなのだろうと理解した。
「羽音には迷惑かけたくなかったのに…何やってるんだろ私」
いつも羽音が就寝する前にホットミルクを持っていくのが唯一羽音と過ごせる時間だ。羽音のホットミルクが飲みたいと言った照れ顔は凄く可愛くて、愛おしくさえ思えたぐらいだ。
しかし飲み終わると羽音は気絶したように眠り込むのだ。余程疲れているのだと痛感し胸がキリキリと締め付けられた。
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