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羽音の部屋の襖をそっと開けた。
羽音は机によりかかったまま眠っていた。
まひるは、ホットミルクを机の端に置き、膝かけ程度の短い毛布を肩にそっとかけた。
「余程疲れてるんだね、羽音。私には何も言わないし責めたりもしない。
私、羽音がボロボロになってくの嫌だよ」
言っているうちに涙が溢れて止まらなかった。
羽音の重荷になっている事が辛くて、悲しくて。
すると突然眠っていた筈の羽音の腕が延び、まひるの顔を自分の顔まで引き寄せた。
え…―
一瞬何が起きたのか分からなかった。
でも今目の前にあるのは
羽音の端正な顔。
そして唇の感触。
羽音はゆっくりと顔を離し困ったように笑った。
「泣かしてばかりだな、
守ってやりたいのに…
ちっともうまくいかない。今まひるといる生活を
苦に思った事なんて
一度だってないよ。
それにまひるが離れていったあの時決めたんだ、
今度また会えたら絶対離さないって」
ずるい、駄目だよ羽音。
私って凄く単純なのかもしれない。
だって、羽音のそばにいたいって思ってる。
羽音を離したくないって。
「少しだけそばに…いてくれないか?」
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