一章

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しかし彼女は交通事故で 両親をなくし、それからは親戚をたらい回しにされ、小さな田舎に引越ししたと聞いていた。 「久しぶり、まひる。 綺麗になったね。」 自然に言ったつもりだった。しかし彼女は顔を赤面させ、下に俯いてしまった。 「羽音、私ねしばらくこの街に居られそう。 おじさんが家事、雑用しっかりこなすなら家に置いてくれるって。 私また羽音と仲良く出来ると思ったら嬉しくて。」 まひるの照れ笑いとは 対象に僕の気持ちは 複雑だった。 なぜなら僕は見てしまったから。 彼女の腕にある無数の 打撲のような痕を。 優しく笑うまひるに僕は胸が痛くなり、気付けば彼女を抱きしめていた。 「羽音?」 「辛いのに笑うなよ。 これからは僕がまひるを守る、絶対守るから。 だから僕が18歳になったら結婚しよう。」
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