一章

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父さんは頭をあげなさいと静かに言った。 わかってる、次に言う事は。覚悟なら出来ている。 「頼み事をするからには 羽音、お前はそれ相応の 覚悟があってのことだろう?」 父さんは意地の悪い笑みを浮かべている。 分かっていた、けれど 後に引くつもりは こっちだって更々ない。 「将来の為にも英才教育はこのまま持続します。 多彩な面で活躍出来るよう技能も身につけます。 万那瀬の名に恥じぬよう 言動、行動は慎みます。 どうです、父さんにとっても悪くないでしょう。」 父は満面の笑みを浮かべ まだ入りたての川井という女の使用人にまひるの部屋を案内するよう命じた。 交渉成立だ。
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