一章

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「羽音は変わった。 少なくとも私の知ってる 羽音じゃない。」 「何言って…」 僕は言葉を途絶えてしまった。だって、気の強い まひるが泣いているから。 「公園で見かけた時から 思ってた。淋しそうで、 放っておいたら消えちゃいそうで…ねぇ羽音。 どうしてそんな目を してるの?小学生の時は あんな無邪気に笑ってたのに。何があなたを苦しめているの?」 まひるだけだった。 子供の頃からいつだって 僕の体調や気持ちの変化にすぐ気付いてくれるのは。泣きたいときに、居心地の良さを教えてくれたのは。だから僕は決めたんだ。 偽りの仮面を剥ぎ取ってくれた君、僕は君の為に君の望む僕でありたいと思った。
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