ぺんたん町へ

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ここは王都の中でも店が立ち並び一番賑わう大通り。 隙間なく店があり、 新しく店を構えるスペースなどない。 それでもスタスタとペンギンは進み、ある店の前で止まった。 大通りを少し奥の路地に入った二階建の小さな店である。 店の看板には 【バーボンハウス蒼ぃぃ】と書かれてある。 が、どうみても営業している気配はない。 二階には洗濯物が干してあり生活している気配がある。 ペンギンは大きく息をすって、その店に向かって叫んだ。 『ねこたーーん!!』 バンッと二階の窓が開いてスラリとした女性が顔を出した。 『あ~♪ぺんた~ん♪』 彼女は蒼いねこという名のスカウトである。 「わ~久しぶり!」と、 ペンギンを中に招き入れ、お茶を出して、ねこは言った。 「でさー、どうしたの?急に来るなんて珍しいじゃん?で、何よその荷物?」 『えへ♪家飛び出しちゃった♪ねこたんが蒼天旅団の宿舎に入ると聞いて、この店借りようかと。』 「あんな豪邸出た?アンタ馬鹿じゃないの?ま、アンタらしいけど。」 『ちょっと改装して住みやすくしとくから、ねぇ、いいでしょー?』 「うーん、何するか知らないけど、留守番してくれるんならいいかな。鼠だらけになっても嫌だし。オッケ、いいよ。好きにやっちゃって。」 『やったー!わーぃ!だからねこたん大好きー♪』 ねこをぎゅーと抱きしめ、ピョンピョン跳ねるペンギンをややあきれ顔で見る蒼いねこだった。
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