硝煙の香り

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「チィ…ッ!」 レッジャーノは舌打ちをしながらライフルのマガジンを入れ替える。 噂のAclassの策士は、予想以上にペテン師だった。 しかし先ほどの威嚇射撃を見るかぎり、彼の実力は噂どうり陳腐なものだった。 レッジャーノはパルミジャーノに口笛で合図を送ると、返事の指をパチンと鳴らす音が聞こえてきた。 『挟撃』 つまりは挟み撃ち。 二人で連携すれば容易い事だ。 レッジャーノは素早く移動し、先ほどまでサクとトールのいた柱に銃口を向ける。 …いない! ならやつらは何処へ。 ガラッ。 物音。 瓦礫… 階段から。 糸!? ― ガラガラッ さっきの柱から… 階段からの音はトラップ! 影… 撃つ。 柱の後ろに… ! また糸…ッ カラッ… 後ろ! 「…待ち伏せは得意でね。」 レッジャーノが振り返るより早く、背中に冷たい感触が押しつけられる。 「…チィ…ッ!」 舌打ちをしながら、銃を投げ捨てると、そのまま両手をあげた。
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