C―5 そして伝説へ…

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  「なんでわざわざそんな嘘をついたんじゃ。ワシが取り合ってくれないとでも思ったのか?」   「いーえ。たぶん私が誘ってもじっちゃまは付いてきてくれたと思いますよ」   「ワシはてっきりお前がボケてるんじゃないかと……心配したんだぞ」   「ホホホ心配性ですねぇ。あのね、私あなたと過ごした人生を振り返ってみたんですよ。そうしたら、気付いたんです。私、じっちゃまに一回も嘘をついた事がないって」   「だから嘘をついたのか?くだらんのぅ」   「だってせっかくの第二の人生ですもの。思いっきり騙して騒いで困らせてやろうって思ったんですよ」   「だからあんなにはしゃいどったのか……」   ようやく妻が自身の性格以上に元気だった理由がわかった。でもそれが全部演技だったとはもちろん思わない。妻はワシと思いっきり遊びたかっただけなのだ。心臓が止まるほどに。   「ごめんなさい。超楽しかったです」   「ワシもだ」   頭を下げる妻の肩を抱いて、共に空を見つめた。美しくも儚く消えていく花火を見て、ふと思った。あと何年生きられるかもわからない命だ。この命尽きるまで、ワシも妻のように誠実でありたい。だから伝えておこうと思った。   「ワシな……ボケてきてるかもわからん」   妻の返事は「そうですねぇ」だった。ワシは目を丸くして驚いた。   「なんじゃ、気付いとったのか」   「何年一緒に暮らしてると思ってるんですか。何回も新聞取りにいったり、一日八回も歯みがきされたりしたら、そりゃ気付きますよ」
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