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足を退かすと、そこにあったのはやっぱり500円玉。
お金を拾い、さっきの悲鳴の主を探す。
「あーもうっ!足有りすぎ!!」
そう叫んでる人を見つけ、落とし主はその人だと確信した。
てか足有りすぎって…ちょっと可愛いな。
そんな事を思いながら、俺は声をかけた。
「あの」
「何!?私今」
「500円探してるんだよね?これ」
「え?」
目を見開いて驚く彼女は、瞳の色が茶色がかっていて、とても綺麗な人だった。
「見つけてくれたの?」
「うん…あ、すみません!先輩だったんですね」
黒いリボンをしている彼女。2年生だ。
「…ありがとう」
「いえ。偶然俺の足に来ただけで…探すにも“足有りすぎ”で大変ですもんね」
「聞いてたの?」
「碧!何してんだ?行くぞ」
ソファーに座っていた衛が俺を呼ぶ。隣には幸介もいて、手には2人分には多いパンがあった。
「碧が人混みから外れるの見えたから、碧のも買っといた」
「幸介…ありがとう。じゃあ俺はこれで」
先輩に背を向けようとしたら、腕を掴まれた。
「あの…?」
「碧君って言うんだ。また会える?これ私のメアド。気がむいたらで良いから連絡して」
そう渡されたのは、ピンク色をした可愛い名刺。
「え…あの…」
「いらなかったら捨ててくれれば良いから」
そう言って、俺の手に強引に名刺を渡す。
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