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「じゃあ頂きます」
「敬語やめて。またね、碧くん」
綺麗にネイルされた爪をヒラヒラと振る先輩に、俺はペコッと頭を下げて、衛と幸介の所に行く。
「ナンパ?」
幸介が目をまるくして、俺を見てくる。
「あはは、違うよ。ただお金拾っただけ。あ、パンありがとう」
「名刺貰ってただろうが」
衛が俺の手からパシッと、名刺を奪い取る。
「衛っ!」
「ふぅん。相当遊び慣れてんなぁ。こんな名刺持ってるなんて…ほらよ」
俺より先に名刺に目を通した衛は、人差し指と中指でそれを挟み俺に差し出す。
「それ分かる衛も凄いよなぁ」
幸介にツッコまれた衛は、幸介の頭をパシッと叩く。
「100円やんねーぞ」
「ごめんごめん」
そんな2人のコントなやり取りを聞きつつ、衛から返して貰った名刺を見ると、携帯の番号とメアド、それから名前が書いてあった。
「斎藤…陽子……先輩」
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