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「俺の名前は……っと。」
学校につく頃には、流石の凛子の機嫌も直っていた。単純な奴だ……なんて言ったらまた殴られるのだろう。
校舎前の人集りを掻き分け、クラス替えの中の自分の名前を探す今に至るという訳だ。それにしても、なかなか見つからんぞ……
「ん……お、あった。」
俺の平凡な名前は2-D組の隅に刻まれていた。お、よく見るとなんか見慣れた名前もあるぞ……?
神楽 凛子
「ほっほう、お前も俺と同じクラスだぞ。よかったなあ。」
「うるさいわね、よくないわよっ!!」
「うわ急に殴りかかるな! 危ないだろうが!!」
そんなに俺の事が好きなのか。
「ほらほら、ツンデレも大概にしないとな。みんなが見てるじゃないか。」
「いつ私があんたの事好きって言ったのよ……?」
ギラギラとした瞳で、再度拳を握りしめる凛子。ヤバいです……また調子に乗りすぎたようです。
「すまん。悪かったと思うからその拳を下ろせぇっ!」
「問答無用!」
次々と襲い掛かる凛子の拳を必死に避ける俺の視界に、つい最近に聞いたような名前が僅かに掠める。
黒部 紫
……気のせいだろうか。嫌な予感が汗となり、俺の背筋を伝っていった。
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