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「ほらお前ら静かにしろー。」
担任の静かな声が、ざわめいていたクラスを落ち着かせる。何気なくクラスをぐるりと見渡すと、見知った顔がポツリポツリといるようだ。
「よし、静かになったか。私の名前は小谷。これから一年間、お前らの担任を務めさせていただく、よろしくな。」
年は30代を越えた位だろうか? 俺達の新しい担任は、理知的な眼鏡をかけた落ち着いた雰囲気の男性だった。
「いきなり話が変わってしまって申し訳ないが、新しい仲間を紹介する。新入生の黒部 紫さんだ。」
ほう、クラス替え直後に転入生とは……ん? 新入生? って、ちょっと待てよ。黒……部?
つい最近聞いたような名前に首をひねっていると、教室の扉がガラリと開く。
その瞬間、男子からはどよめき、女子からはため息。しかし、俺は扉を開いた張本人の姿に凍り付いた。
「お……おま……」
「あ、高杉さんっ!! またお会いできるなんて運命ですね!!」
凍り付く俺の姿を見つけ出した電波女は、笑顔をほころばせて俺のもとへと駆け寄ってきた。まさか、まさか本当に同じクラスにやって来るとは。
「てか、転入生とかあまりにベタすぎるフラグだろ!?」
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