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「……最後の質問だ。なんで、俺の事が、好きなんだ? 簡潔に言ってくれ。」
幸せ者だとか、素直じゃないとか言われるかもしれない。しかし、訳がわからない好意はかなり恐ろしいんだ。
「私の好みとあなたがぴったり合ってるから……じゃ駄目ですか?」
駄目ではない。が、その台詞には他にも理由があるのを誤魔化しているような気がしてならなかった。まるで、納得する理由を無理に見つけ出したかのような。
「だがな、一つ問題がある。」
そう、これが唯一で絶対的な問題。
「俺はお前が好きじゃない。」
その言葉を聞いた瞬間、彼女の目から大粒の涙が零れ落ちる。そして、ゆっくりと崩れ落ちたかと思うと、シクシクと泣き出してしまった。
「あんたって奴は、なんで女の子を泣かせてるのよ!」
神楽の怒りの鉄拳に、めり込む顔面、吹っ飛ぶ体。悪いとは思っているのだが、不意打ちでこんな威勢良く殴られるのはあまりに酷くないだろうか。
「いってぇぇぇ、何すんだよ!?」
「誰だって女の子が泣いてたら、泣かせた男を殴るでしょ!! 」
そりゃ女の理屈というやつで、俺にも理由というものがあるんです。
なんて言葉を呟こうものなら、俺の体にもう一つ痣が出来る事だろう……
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