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「お兄ちゃん……」
俺の目の前で妹が、瞳を潤ませて見上げている。赤く染まった頬をさらに染め、期待と不安を視線に込める。
「麻衣……」
心臓が早鐘のようだ。はやる気持ちを僅かに残った理性で抑えつけ、俺は麻衣をベッドに横たわらせる。
そしてゆっくりと……
「お兄ちゃーん!」
しかし、そんなドキドキワクワクな展開はバタンというドアの開く音で中断された。誰かが、俺の部屋へと入ってきたのだ。
「うわ、お前ノックぐらいしろ!」
突然の来訪者に、俺は慌ててパソコンを操作し×をクリック。目の前に広がっていた肌色空間が消え失せたかと思うと、お馴染みの青い背景が画面に広がる。くそう、こまめにセーブしておくんだった……!
「さっきからお母さん呼んでるよ? ゲームするのはいいけれど、あんまり集中しすぎないでよ。」
我が妹ながら可愛らしく整った顔を不機嫌そうに歪め、まったくもうと呟く。まだあどけない顔立ちの妹は、どうやら俺を呼びに来たようだ。
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