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ん? ちょっとまてよ、俺の事を随分と知っているストーカーかと思ったが……ストーカーならコンタクトの取り方がおかしいな。
「君は……俺の事を知っているのか? 初対面ではないと言ったが、どこで会ったんだ?」
勿論、俺にはこんな末恐ろしい女の子と面識は無い。表札は「黒部」と刻まれていたが、黒部なんて名前も知らない。幼なじみじゃないかって? ナンノコト?
「やっぱり私の事……知りませんよね。まあ当然です。私があなたの事を一方的に知っているだけですから。」
と、少々は落ち込んだ声で呟く。……まさかやっぱりストーカーでしたというオチだろうか。いや待て、まだ顔も見てないのに知り合いじゃないなんて早計か。
「と、とりあえずもう出てきていいからさ。ついでに名前を教えてくれよ。」
と言いながら、俺はドアノブからスッと手を離す。ガチャ……と閉ざされていた扉が開く。
その時、俺は……初めて彼女の顔を見た。目鼻立ちの整った美しい顔は、可愛いと言うより美人と言うべきだろうか。
ほっそりとしたあまり日に焼けてない白い手足とは対照的に、服を押し上げる二つの膨らみは意外にも自己主張はしっかりとしている。
そして……深く澄んだ瞳が、俺の姿を小さく映していた。
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