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「今の所は……特に問題は無いです。ただ……」
ただ……何だろう。
「昨日と同じように、体に力が入らないんです。」
「体に力が入らない!?ちょ、ちょっと大丈夫なの……?」
凜子が驚くのも無理は無い。
体に力が入らない状態が長く続くなど、明らかに異常だ。
風邪や頭痛などと訳が違う。
「どれくらいの事はできるんだ?」
「立って歩くのは、正直言って少々辛いです。今日の朝、ベッドから降りた瞬間に崩れ落ちました。」
……おいおい、これはかなりの重症じゃないか。
昨日に散々痛んだ胸が、またチクリと痛む。
「ところでさ……」
話を変えようとしたのか、凜子が口を開く。
が、開いた口から言葉がなかなか発せられない。
口を僅かに開いたまま、紫の事をじっと見つめている。
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