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紫を抱き締めている体が熱い。
しかし、俺は紫の事を放さなかった。
「運命を簡単に受け入れるほど、俺は物分かりのいい人間じゃない。信じたくもない。こんな運命、認めない。」
「亮太さん……」
紫が亮太さんと俺を呼ぶ。
何だか、こそばゆいような恥ずかしいような感覚に襲われた。
何度となく、恋愛を諦める事になった俺。
そんな俺に、もう一度人を好きになる事を教えてくれた……
俺は、紫から色んな物を貰った。
それは形あるものではなく、俺の心に根付くもの。
しかし、その紫は……残り僅かな命を散らそうとしている。
それを黙って見ているのか?
いや、そんな事はできない。
そんな……そんな事を許せるものか。
俺は我が儘なのかもしれない。
しかし、これだけは……譲れない事だから。
漫画のようにカッコ良くはいかないかもしれない。
アニメのようにハッピーエンドにはならないかもしれない。
だが、現実だからといって諦める道理は……無い!!
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