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黒部 紫。
俺のお隣に引っ越して来た女の子である。衝撃的な出会いを果たした女の子の事を悶々と考えながら、俺は朝の通学路をトボトボと歩いていた。
いや、そんなことより今日は新学期なんだから頭を切り替えないとな。
「はあ……俺の静寂なる日々よ、さようならー。」
そんな哀愁満ちた溜め息を吐いたその時、俺の視界の端にピョコピョコと動く女の子の姿が映った。
「ん……?」
「何よ何よ、今日も湿気た面しちゃってさ。今日は新学期なのよ? シャキッとしなさい!」
ショートに切りそろえたクセの無い髪とささやかな胸を揺らして、その女の子は勝ち気な笑みと共に俺に近付いてきた。
「はははツンデレだ、ツンデレがきたぞ!」
その言葉を言い終わるや否や、ばきぃっと景気の良い壊滅音が俺の頬周辺から響き渡る。いやこんな冷静に実況なんぞしているが、かなり痛い。
「誰がツンデレよ誰が!」
いかなり鉄拳の挨拶とは、なんとも暴力的な女だ。まったくもってツンデレなこの女、名を神楽 凛子という。
俺と出会う度に、毎回殴ったり罵倒したりと可愛いツンデレだ。デレを見たことは無いが。
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