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気づいたら、1人ぼっちでぼーっと立っていた。
本当にいつの間にか見知らぬ場所につっ立っていたんだ。あまりの怪奇現象ぶりに声も出ない。
僕はなぜこんな所にいるんだ?
戸惑いながら辺りを見回すけど、そこは360度見たことのない景色で埋められていて。
「……ここ、どこ?」
小さな声で呟いたつもりなのに、辺りが静か過ぎて、僕の声は思ったより遠くまで響いてゆく。
予想外に大きな自分の声に自分で驚いて、慌てて周りを見渡したけど、僕の声に気づいてくれる人も、迷惑そうな顔をする人すらも見当たらず、その生き物の気配のまるで無さに、僕の背筋を冷たいものが駆け抜けていった。
どうしてこんなことになってるんだろう。僕は今まで何をしていたんだ?――ダメだ、何も思い出せない。
異常な静けさの中で、どうしてこんなことになったのか、どうすればいいのか分からなくて、僕はただ無意味に手を擦り合わせているしかなかった。
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