第三章 進展

8/9
前へ
/45ページ
次へ
      13 「失礼します」 外村が所長室でくつろいでいると藤井が入ってきた。 「どうしたんだ?」 藤井の表情が曇っている、何があったのだろうか… 「所長、あの志津里という刑事は所長が何か事件に関係してると思ってます。でもそんなことないですよね?」 藤井は志津里に何を吹き込まれたのかはわからないが凄く不安な顔で外村を見た。 「あぁ、決まってるじゃないか」 外村は藤井を安心させた。 彼女は頭が良く優秀ではあるが、優し過ぎる。客観視という物がまだ少し出来ない、弁護士として未熟なのはそこだった。 「そうですよね。所長は増谷さんと別に揉めるような事もなかったし、私たちみんな同じ場所にずっと居たし…誰も関係ないはずです」 「その通りだよ。ただ、何故君はそこまで志津里の言うことに不安になったんだ?」 「それがその…所長、休憩所にボールペン落とされませんでした?」 やはりボールペンは休憩所に落としたようだった。志津里が拾ったのだろうか? 「あぁ、そこにあったのか。警察に持って行かれたのか?」 「はい、志津里刑事が持ち主を訊いてきて鑑識に回すと言ってました。大した物ではないらしいですが、所長が疑われるのではないかと思いまして」
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

651人が本棚に入れています
本棚に追加