第四章 核心

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      15 外村は裁判を終え事務所へと戻った。今日は一日裁判だった事もあり志津里は現れなかった。特に何も掴めなかったんだろう…当然だ。 そして外村は所長室の扉を開けた。入ってすぐ志津里が脇に座っているのが目に入った。 「君もしつこいな。何をしているんだ、勝手にオフィスに入って」 「すみません、先生が戻られるまでここで待つように言われまして」 「それで用件は何だ?」 「先生、増谷さんは本当に強盗に殺されたと思いますか?」 「どういうことだ?」 やはりこの男は強盗の線を捨てている。ただこの切り出し方は何か掴めたのだろうか? 「こないだも言った通り私はそうではないと思っています」 「だから事務所内の人間だと言うんだろ?でも彼が生きている時にはみんな中華料理店にいた。それはみんなも証言をしている。それとも参加しなかった人間だというのか?」 「今日は堀谷君と分担して参加しなかった方々にも確認しましたがそれぞれアリバイがありました。関係者全員にアリバイがあるのはめったにない事ですが」 「そうか、じゃあ誰も犯行が不可能じゃないか」 今日はそういった裏付けに走り回ったのか、結構な努力だ。まあ刑事なら当然だが。
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