第四章 核心

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「それがそうではないんです」 「何が言いたい?」 「こないだ私はなぜ犯人は増谷さんの携帯電話を盗んだか、と訊きましたよね?」 「ああ、それについて意見は述べたがそれでは足りなかったのかね?」 「いや、もう一つの可能性があったんです」 「どんな?」 「携帯電話の機能にはいろいろな機能がありますが、犯人の目的は増谷さんが持っているメモリーではなく、増谷さんの携帯電話から電話をかける為にだったんです。だから犯人は携帯電話を盗んだんですよ」 なるほど、志津里はここまで来たかと外村は思った。 「携帯電話をかける為とは?」 外村はとりあえず志津里の話を聞く事にした。奴がどこまで推理できたのかを… 「検死官の話では増谷さんは電話のあった9時15分よりも以前、8時半から9時辺りに死亡した可能性もあるとの事です。仮に8時45分に増谷さんが殺されたとすると中華料理店にいた時に増谷さんからかかってきた電話は誰からなんでしょうか?先生、増谷さんからの電話って本当に話をしているんでしょうか?」
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