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外村法律事務所は三階建てのビルになっていて、一階は駐車場と受付、二階がそれぞれ弁護士の部屋に別れた個別オフィスと廊下を挟んで資料室と休憩所がある。三階も数個の個別オフィスと外村の所長室がある。外村は週に一度程度しか二階には顔を出さないが、当然それぞれどこが誰のオフィスであるかは把握してある。
今日も外村は事務所に来たが二階には通らずに三階の所長室に入った。
「今日のご予定は10時から片山様からご相談が入っています。そのあと12時から中尾先生との食事会が銀座で行われます。それから14時から診察となっております。本日の予定は以上です」
秘書の安岡は淡々と伝えた。
十日に一度は昼には仕事は終わる様に予定を組んでいる。今日はその昼で仕事を終える日だった、外村は今日を計画の実行日に設定した。
「安岡君、今日夜に事務所のみんなで食事に行くんだけど安岡君も行かないか?」
何気ない提案をしたのだが、安岡は「今日は予定があるので」とあっさり断わり、部屋を出た。
それでも人数はある程度揃っている、別に心配事にはならなかった。このまま何もなければ計画は遂行される、もうすぐ増谷はこの世からいなくなるのだ。
外村はそう考えながらコーヒーをすすった。思わず口元が緩んだ。
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