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「例えば、君は私が戻るまでこのオフィスにいた様だが、肝心の増谷君の携帯電話は見つかったのかね?君が部屋にいたからには物色したとは思うが」
「いえ、何も出てきませんでした」
「やはり探したんだな?勝手な事をされて、言いがかりをつけにやって来たという訳か…仮にアリバイが無かったとしても私があの夜事務所に行った事にはならない。私の元から携帯電話も見つかってないのだから私が会話をするふりをしたのも証明されない。犯人が増谷君のふりをしてごまかした可能性もある」
志津里は外村の反論をただ聞くだけになっている。
惨めだな、志津里君。
「とにかく勝手な推測だけで私を逮捕しようなんて何かの陰謀か?私が犯人だというならあの時間に事務所に私が居たことを証明したまえ!まあ無理だと思うがな。私は犯人ではないのだから」
外村は言われっぱなしの志津里を見て笑いそうになった。
「今後私を犯人呼ばわりしたら君の上司に報告するよ」
「それは待ってください…」
久々に志津里が口を開いたならこの一言だ。
完全に志津里の負けだ、私は勝った…外村はそんな優越感でいっぱいだった。
「もうわかったら帰る事だ。それと、もううちの事務所には来ないでくれ」
「わかりました。退散いたします」
そう言い残して志津里が帰る姿に外村は大満足だった。
奴はもう来ない…外村は自らの勝利に浸っていた。
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