第一章 企み

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       6 外村は部下と合流し、中華料理店に入った。 「今日は好きなもの食べていいぞ。どんどん頼んでくれ」 外村は盛り上がる部下たちを煽った。このような食事会は何度も行っており、この計画の為だけに設けた物ではない。外村が部下との親交を深める為に行っているのだ。今日は8人ほど集まっている。 「所長、お疲れ様です!今日はありがとうございます」 部下の藤井君が話しかけてきた。彼女が外村を慕っているのは外村自身気付いていた。 「これからも頑張ってくれ、君は素質があるんだからしっかり勉強してくれよ」 激励は本心だ。彼女を育てようとも考えている。 「先生、今日は増谷さん来れないみたいですよ」 他の部下が言ってきた。増谷の事を気にしてくれるのは外村にとって好都合だった。ここから外村のアリバイ工作が始まる。テーブルクロスの下で奪っていた増谷の携帯電話から外村自身の携帯電話に電話を入れた。外村の携帯電話が鳴る。外村は電話を取った、一人芝居が始まる。 「もしもし、増谷君か、いや仕事なら仕方ないよ。また次回でいい。えっ、それならわかった。来れるなら来てくれ。じゃあ」 外村は自然を意識した。誰一人外村を疑わなかった。 「増谷さん何て言ってました?」 部下が訊いてきた。みんなの中でも増谷は生きていることになった。後はこのまま過ごすだけ、とりあえずは計画通りだ。 明日には死体が発見される、本当の正念場はこれからだと外村は考えた。
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