第4章 親友の涙

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―この涙は誰の涙だろう…?雨の中、親友の血が流れていくのを俺はただ静かに見つめていた。 君を取り戻せるのに、心は晴れない…。 涙は誰が流したのか? あいつはいつだって、俺と一緒だった。なのに…、あいつは泣いていた。死ぬのに、俺が裏切ったのに…俺のために泣いていた…。 「なんで泣くんだよ…。」 「雄二…、ごめんな…。」 そう言いながら、あいつは泣く。雨の中、俺の腕を掴みながら…。 「気付いてやれなくて…」 「俺はお前を殺してんだぞ?お前を…裏切ったんだっっっ!」 「それでも…俺の親友だから…。」 「…っ!」 そう言いながら、親友は微笑んだ。俺を責めず、ただ静かに微笑んだ…。 「雄二…、ごめん…。」 それが親友の最後の言葉だった。 冷たくなっていく親友の身体を抱き締め、俺は笑っていた…。 「ははは…、お前バカだよ…。謝るのは俺なのに…っ!」 その時、俺は泣いていたのかもしれない。親友の身体を強く強く抱き締めながら…。 涙は雨に流されて、泣いていたのかさえもう思い出せない…。
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