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―すべて悪夢だったと言えたら…。君がもう1度微笑んでくれると思ったのに…。
どうして…?
親友を殺した後、どうやって帰ってきたのか覚えてない。気付いたら、自分の部屋に居た。そして、あの少女が微笑んでいた…。
「おかえり。上手くいったみたいだね。」
「あぁ…。」
「あれ?嬉しくないの?貴方の大切な人がもどってくるのに。」
「…。」
俺は何も言えなかった。嬉しいはずなのに、何かがそれを嫌がった…。
「まぁ、いいや。貴方との約束守ってあげる♪」
そう言って少女はある部屋を指差した。そこは変わり果てた夏海が居た場所だった…。
「その先に貴方の大切な人がいるよ。」
「…。」
俺は操られるように夏海がいる部屋へとゆっくりと近付いた。
この扉を開ければ、彼女がいる。何も変わらない声で俺の名前を呼んで、微笑んでくれる…。そのはずだった。扉を開けるまでは…。
「夏海…?」
「…。」
俺の声に反応して振り返った彼女にあの優しい微笑みはなかった…。
いたのは、無表情の夏海だった…。
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