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―血だらけの男の近くに少女は立ち、妖艶に微笑んでいた。
「愚かな人間。結局、死んじゃうなんて…。つまんないの。ねぇ、貴方もそう思わない?」
「…。」
「あぁ、貴方は話せなかったのよね?忘れてたわ。」
少女はそう言って、血だらけの男の近くに立っていた女の頬に触れた。
「あれ?泣いてるの?貴方には魂なんかないのに…。」
少女はそう呟いて、その女の涙を拭いた。少女が造った人形なのに、女は涙を流し続けた…。
「まぁ、いっか。次の人間はどんな結末を私に見せてくれるかな…。」
そう呟いて、少女は消えた。
残されたのは、血だらけの男の死体と女だけだった…。
失ったものは、帰らず。ただ人は涙を流す。
END
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