第1章 失った日

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―君は僕に微笑んだまま、居なくなってしまった。愛していた、君だけを…。 「雄二、彼女さんによろしくな。」 「わかってますってば。じゃあ、失礼します。」 俺―雄二は彼女である夏海が待つアパートへと急いだ。今日は夏海の誕生日。二人で祝う約束をして俺はバイトへと向かった。バイト先の店長である大和さんは、親切にケーキを用意してくれた…。ささやかな幸せだった。失わないと思ってた。夏海の姿を見るまでは…。 「ただいま~。」 「…。」 「夏海…?」 俺はいつもと違う事に気付いた。夏海の姿が見当たらない…。嫌な感じを抱えたまま、俺は夏海の姿を捜す。寝室に近付いていくと、血特有の匂いが強くなる。 そして、俺が見たのは…血だらけのまま微笑んでいる夏海の変わり果てた姿だった…。 「夏海…?冗談だろ?なぁ、俺帰ってきたんだ!!冗談やめてくれ…っ!!」 夏海からの返事はなく、俺は彼女を抱き締めながら泣き続けた…。 どれくらい時間が経ったのか分からない。俺は誰かに肩を叩かれ、振り向いた。そこに居たのは、普通の少女のように見えた。 しかし、その少女の言葉がすべての始まり…。
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