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ミカエルが涙を流しながら叫んだ。尊敬する父親が命を懸けてまで救った世界を、今度は自分の戦いのせいで滅びのきっかけを作った事による衝撃は、彼女の心に凄まじい傷痕を残したのだ。
荒っぽいやり方であるが彼女の心を察知したからこそ、あえてアルヴィスは手荒い方法に打って出たのだ。
完全に半狂乱に陥ったミカエルに、アルヴィスはわざと声を荒げて答えた。
「あぁわかんねぇな!! 俺はお前でなければ、お前と違って父親を尊敬しているわけじゃねぇよ!! 確かにお前の父親は世界を滅ぼすきっかけの要因となった一つだろうが、あの人はお前のように崩れ落ちたか!?」
「そ、それは……!!」
「あの人とローラさんの血を受け継いでるなら、しっかりと前向いて行こうぜ。ローラさんにも言われたろ? 心を光で満たしておけってな」
最後には笑いながら話すアルヴィスの言葉に、ミカエルは目を大きく見開きながら我に返った。
「そうだな……お前のおかげで目が覚めたよ。あ、ありがとう、アルヴィス」
「わかればいいさ」
――堅物ではあるが、素直なだけマシか……。
先程の険しい表情から一変し、外の人間に対してあまり感情を出すのが苦手なのか、ぎこちなくも心から感謝するミカエルの恥ずかしそうな表情にアルヴィスは服を掴んでいた手を離す。そして、即座に後ろを振り返りある人物に向かって歩を進めた。
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