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アルヴィスが一番に物申したかった相手はミカエルではなかった。 先程のアビスとの戦闘で、単独行動を起こし危うく闇の中に吸い込まれそうになったウリエルだ。
「……」
対するウリエルは、近付いて来るアルヴィスを黙って見やっていると、青年は無言のまま彼の横っ面を渾身の力で殴りつけた。
「っ!!」
アルヴィスの唐突な一撃に、ウリエルの体が後ろにのけ反った。またもや突然の行動に、フィレイス以外の者達が驚愕したが、誰も間に入ってそれを止めようとはしなかった。一歩間違えれば死んでいたかもしれないのだったのから。
口許からから流れる血を拭いながら、ウリエルはアルヴィスを睨む。
「……」
「……」
明らかな殺意を瞳に宿しながら、睨み合う二人から一触即発の雰囲気が漂うと、これ以上はまずいと判断したフィレイスが間に入り制止する。
彼女の行動によって衝突は避けられたものの、叱責を受けて当然である事をラファエルとフィレイスの二人に釘を刺されたウリエルは、沈黙しながらも小さく頭を下げ、小さな謝罪をした。
「次からは気ぃつけるんだな……“ウリ坊”」
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