第一世界“ガーランド”

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 辺りを見渡しながら、ミカエルは呟いた。目の前に広がる景色は、自分達が住む世界とは何ら変わりがない景色に見える。 「お空も、エリ~がいつも見てるお空とおんなじだよ~?」  空の色は青く澄み渡り、白い雲が流れて行く。いつも見上げる空と同じであることから、本当に異世界なのか、と半ば信じられないような雰囲気のミカエル達に、フィレイスは優しく微笑みながら告げた。 「私も最初はそうだったわ。でも、間違いなくこの世界はミカエルちゃん達が住んでいた世界とは別次元の世界よ。でもね、どんなに違う世界に行っても、空だけはほとんどの世界では同じ空をしているのよ。ホントに不思議よねぇ」 「へぇ。空をずっと見てると、なんだか元の世界に帰って来たような感覚に陥るな。う~ん……いい風だ」  優しい風を全身で感じ、靡く銀色の長い髪を押さえ、背中から生えた羽を伸ばしながらミカエルは空を見上げ続けていた。  空をこんなに長く見るのは随分と久々だった。最後に空を見上げ続けたのは、数年前に家族全員で両親の友人である空賊達が空から遊びにやって来た時以来だな、と思い出に浸りながら、ミカエルは微かに微笑んだ。  そんなミカエルの後ろでは、ラファエルが何やら眼鏡を吊り上げながら熱心に小さな手帳に何かを書き記していた。 「……何やってんだラファエル?」 「あぁ、メモしてたんですよ。異世界について、色々とメモしとかないと僕の知的好奇心が暴走してしまうので」 「はぁ。まぁ、せいぜいメモるこったな。こっちの準備が出来たらさっさと行くからな」 「えぇ、その時になったら教えてください」image=445178273.jpg
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