11人が本棚に入れています
本棚に追加
/572ページ
「アルヴィスくん。少し話したい事があるんだけど……いいかしら?」
「美人さんの相手なら喜んでいくらでも」
「ふふっ。上手いわねぇ。その女性の心を喜ばせるような巧みな話術で、今まで何人の女の子を落としてきたのかしら」
「……ハハハ」
――やれやれ、ローラさんには俺の話術は効果なしか……まだまだ修業が足りね~な。
そう言ってローラは庭の外れにある大きな木の元へと歩を進め、アルヴィスもその後へと続いた。
「それで、話しってのは何ですか?」
「貴方にお願い……いえ。依頼があるの」
「……依頼?」
職業病と言うべきだろうか。依頼、というローラの言葉に、アルヴィスの表情が変わった。
それは仕事としての依頼ですか、と青年が尋ねると彼女は、もちろんよ、と頷いた。
「それで、依頼というのは?」
「……旅をする間、私の代わりにキミがあの子達の保護者をしてほしいの」
「……へ?」
少しの間を置いてローラの口から出た言葉に、アルヴィスは拍子抜けした表情を浮かべた。
もちろん冗談で言ってない事はわかってはいるが、完全に予想外の依頼内容にただただ口を開くしかなかった。
最初のコメントを投稿しよう!