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時は再び異世界の草原に戻り、空を見上げる弟に、フィレイスは納得する。
「そうだったの。それなら断る理由なんかないわね」
護衛なら未だしも、初めて受ける依頼内容に最初は困惑したアルヴィスだったが、依頼を受けた以上は必ず遂行し、完遂させるのが流儀である。今の彼には、戸惑いなどはない。
「さてと、そろそろ行くか」
「そうね。いつまでも此処でじっとしてるわけにはいかないものね」
立ち上がるアルヴィスを見て、フィレイスも立ち上がり、ミカエル達を呼び集めた。
全員集まったかきちんと確認する二人の姿はまるで、小さな子供達を引率する教師に見える。
よし行くか、とアルヴィスが一本進んだ瞬間、彼の足が止まった。
「やれやれ、この世界にもいるんだな……モンスターが!!」
アルヴィスが素早く腰から獲物を引き出した。剣か、短剣か、彼の獲物に少しだけ興味があったミカエル達は彼の手に握られた獲物を見やる。しかし彼の手に握られていた獲物を見た瞬間、彼らの表情が変わった。
「銃だと!? アルヴィス達の世界では認められているのか?」
「なんだ? お前らの世界では禁止されてんのか?」
「まぁ……」
「ほぉ、なるほどな」
――あの世界で使わなくて正解だぜ……。
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