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しかし談話をする余裕など与える暇も無く、一行の前に四つの影が颯爽と現れた。
「これは……野犬?」
影の主の姿が露になると、ミカエルは首を傾げた。現れたの四匹の犬達だった。犬達は鋭い牙をちらつかせ、低い唸り声を上げる。完全に殺意が剥き出しの状態であった。
「……」
試しに動物と会話が出来るエリエルが犬達の声を聞こうとするが、何故か犬達の言葉は聞こえなかった。
単に異世界だから言語が違うだけなのかもしれないが、フィレイスはその考えを否定した。
「見た目はただの野犬でも、彼らは立派なモンスター。魔者よ」
「モンスターなんて……お伽話の存在だと思っていましたよ」
野犬の姿をした魔者達が、いつ攻撃を仕掛けてくるかわからない。ミカエル達が一斉に武器を携え、臨戦体制を取る。
しかし、アルヴィスはそれを制止した。何故だ、と問い掛けるミカエルに彼は一言だけ告げて答える。
「お前らに俺の戦い方を見せてやる。しっかりと目ん玉ひんむいてよーく見てな!!」
その瞬間、アルヴィスが駆け出した。その後を追うかのように、野犬の魔者達も一斉に動き出す。
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