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一服を終えた青年は、煙草の火を消し寝間着を脱ぎ捨て、服を着替えた。
「……」
――少し散歩でもしてくるか……。
青年は家を出て、朝焼けに染まる街の中を歩いた。外の空気を吸いながら歩いていれば少しは忘れられるだろう、と考えたからだ。
「……」
小さな小鳥達の囀りが耳に入る。まるで自分に向かって“おはよう”と言っているような気がした。
普段の彼の“仕事”からは掛け離れた平和で穏やかな朝の街。いつもと何ら変わりの無い街の景色が視界に入る度に、気持ちが和らいでいく。
「さて、戻るか……」
しばらく歩いたところで、青年は回れ右をして来た道を戻る。もちろん向かう先は自分の家だ。
夢は所詮ただの夢だ、と青年はそう結論付けながら帰路についた。
「ただいま……」
――と言っても、フィリー達はまだ眠ってるか……。
玄関の扉をゆっくりと開閉し、青年は小さく呟いた。まだ誰も起きている気配はない事を確認した青年は、大きく背伸びした。
気晴らしにはちょうど良い散歩だったな、と早朝の散歩に満足げな表情を浮かべる青年は、自室を目指し歩き始めた。
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