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再び自室へと戻った青年は、もう少し寝るか、とベットに向かうが途中で立ち止まり寝る前の一服をする為、懐から煙草を取り出し再び一服を始める。
「……」
その時、青年は煙草を吹かしながらふと窓から見える外の景色を眺める。
「……」
もう少ししたらこの街の景色が見れなくなる、そんな気がした。虫の知らせ、とでも言うのだろうか。その若さからでは想像できない程、幾多の修羅場を乗り越え、なおかつ“仕事上”で培われてきた“本能”が彼に告げていた。
「……」
――やはりあの夢、フィリーや母さんに言ってみる必要がありそうだな……。
“本能”が告げているのならば間違いはない。理屈などではない。彼は幾度となくその“本能”のおかげで危険を事前に察知し、くぐり抜けて来た経験があるのだ。
青年の目付きが一段と鋭さを増した。 また再び戦争が始まるのか……。
若しくは、この街全体が主戦場となるのか……。
青年の予想は尽きない。しかし、今の彼には、まだ分かっていなかった。やがてこの街が、いや彼が住むこの“世界自体”が消えてしまう事を……。
挿絵提供――琴まさみさん――
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