終焉の闇~邂逅~

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 “それ”が初めて喋った。しかしその間、大気が激しく揺れた。その大気の揺れに皆が思わず尻餅をつく。 『コノセカノヨウニ、オマエタチモキエテイクガイイ』  “それ”がいた穴の中から闇が一気に噴き出した。その闇は瞬く間に世界中に広がり、太陽の光さえも遮った……。  世界中が夜の闇に包まれた。当然その異変は、剱やローラの友人達の元にも訪れていた。  二人の友人である空賊の飛空艇が停めてあるところでは、飛空艇の計器が全て狂い、機械が一瞬にして停止していた。  アルヴィス達が出会ったシンがいる城では、城主である若き王が、突然の出来事にも怯まず兵士達に迅速で的確な指示を下していた。  突然の異変に、世界中の人々は言いようのない不安と恐怖がまるで伝染病のように広まっていった。 「この闇は……ん!?」  闇が世界中を覆い尽くしてから間もなく、次の異変はすぐに起きた。世界中から、あらゆる音が消えた。人々の声も足音も、風の音すらも……まったくの無音である。  そして間髪容れず最後の異変が現れた。  大地が、森が、建物が、空が硝子のように砕け、穴の中へと吸い込まれた。 「くっ、くそ!!」  気付いた時には既に遅かった。“それ”の位置から一番近い場所にいたウリエルが穴に向かって吸い寄せられていく。
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