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唐突に投げかけられた声に一同が一斉に振り返った。するとそこにいたのは、まだ幼い顔立ちをした十代半ばくらいの子供の姿であった。
美少年というよりは美少女といった印象を受ける顔立ちに、最初はたじろぐ一同であるが、フィレイスは年下であろう少年に深々と頭を下げた。
「フィレイスさん?」
ラファエル達は互いの顔を見合わせながら首を傾げた。しかし、アルヴィスだけはその行動の意味を理解していた。
「フィリー、もしかしてその子供って」
「アルヴィス、失礼よ。この方は見た目は幼い子供のようだけれど、あの方と同じく高次元の精霊様よ。口の利き方に注意しなさい」
フィレイスの厳しい口調に、アルヴィス達の表情が変わった。弟を叱る姉に、少年は優しい笑顔を浮かべながら制止する。
「まぁまぁ、そんなに畏まる事はありませんよ。僕はまだ八千年くらいしか生きてないんですから」
「げっ!!」
爽やかな笑顔とは正反対な発言に、ミカエル達の表情が更に変わった。
八千年生きている上に“まだ”という言葉を発した辺りに、余程の衝撃を受けたのだろう。
彼らは動揺を隠せずにいた。
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