終焉の闇~邂逅~

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「あのぉ、そろそろ本題に入りたいのですが……?」 「は、はい。すみません」  いい加減に本題を切り出したい少年が苦笑しながら呟くと、ミカエル達は我に返り表情を引き締めた。  一同が横一例に並び、一人の顔を確認した少年は、真剣な表情を浮かべながら自己紹介を始めた。 「ボクの名はパトロクロス。次元の壁を監視し、均衡の天秤を担う者です」 「次元の壁?」 「均衡の……天秤?」 「そこにいるお二人は既にわかっているかもしれませんが、あなたたち四人は初めて聞く言葉かもしれませんね……」  そもそも彼らが住む二つ世界は、元は別次元に存在する世界である。  この果てしなく広大な宇宙の中には、二つの世界とは異なる世界が万や億も存在していて、我々が何気なく見上げる夜空の星の光は、その世界が存在している証なのだ。神々が住む天界も、悪魔や魔物達が犇めく魔界もその世界の一つである。  しかしそれら全ての世界には、共通の規則がある。  それは――異世界の干渉の禁止――というものである。その干渉が起これば世界が融合し一つの世界になるか、最悪の場合は両方の世界が崩壊してしまう恐れがある。  次元の壁とはそれを防ぐ為の唯一にして絶対的な防御壁でもあるのだ。  それだけ全ての世界は、非常に微妙な均衡で保たれているという事を意味していた。image=444834688.jpg
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