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パトロクロスの答えは一同を驚愕させたが、もう一つの疑問にフィレイスは冷静な様子で問い掛ける。
「なぜ、アビスは突然現れたのですか? あの夢は、あなた様が?」
フィレイスの問い掛けに、パトロクロスの表情が微かに変わった。核心をついた質問の答えに、一同の視線が集まる。
「あの夢はあなたが仕えている者が見せた物です。そして、アビスが現れた理由……これが一番の本題です。数百年前から、次元の壁に綻びが生じ始めました。最初は小さな綻びでボクは力を使いながら修復させてきましたが、やがてそれは大きくなり今では次元の壁は薄い硝子板ほどの厚さしかありません」
「それでは、誰かが次元の壁を壊していると?」
「えぇ。次元の壁は元々神々が作った強力な壁でしたが、その壁に綻びを生じさせてしまうほどに強力な力を持った何者かが……そして数カ月前、その壁の力が弱まる出来事がありました。それは、あなたたち四人が住む世界で起きました」
「えっ!?」
突然の言葉にミカエル達の表情が変わった。数カ月前の出来事、その言葉に思い当たる節があった。
「ま、まさか、あの戦いで父さんが異世界に飛んだという……?」
「……えぇ」
「なんだって……!?」
恐る恐る確認するラファエルの言葉に、パトロクロスは少しの間を置いて頷き、その返答にミカエルとアルヴィスが同時に驚愕する。
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