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「それは星の羅針盤と言って、今回の旅では非常に重要不可欠な物です。星の大海は果てしなく広がる無限の海。その羅針盤が次の座標を示してくれることでしょう」
「なるほど……これならフィリーの転移能力を使う際にも役に立つな。ありがとうございます」
深々と頭を下げるアルヴィスの後方では、まだミカエルは膝を着いたままうなだれていた。
「……はぁ」
さすがに業を煮やしたアルヴィスは、短い溜め息を吐いてすぐ足早にミカエルの元まで歩を進めた。
「……」
「……」
アルヴィスの鋭い視線に気付いたミカエルが上を見上げる。周りの者達も、それを黙って見守った。
すると何を思ってかアルヴィスはいきなりミカエルの服を力いっぱいに引っ張り、無理矢理な形で彼女を立たせる。
「貴様……」
「……」
突然の出来事にラファエルとエリエルは驚愕し、ウリエルは怒りに満ちた形相で一本前へと進むとフィレイスが右手で彼の肩を掴み無言で制止する。
「……」
フィレイスは目でウリエルに伝えた。黙って見ていて、と……。
「くっ、いきなり何をする!!」
鋭く睨みをきかせるミカエルに、アルヴィスは氷のように凍てついた目をしたまま口を開く。
「いつまでそうしてるつもりだ? へこたれてる暇なんてあんのかよ」
「貴様に……貴様なんかに私の気持ちがわかってたまるかぁ!!」
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