兎の王様

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纏めている小隊の者がある男を暗殺しに行き、返り討ちにあい殺害された。 爪が綺麗に剥がされた右手がホルマリンに浸り組織に運送されてきた。 他の小隊も被害に合っているらしく、生存者はたったの1名。しかし、その1名は両手足を失い酒の入った壷に入れられ、口をワイヤーで縫い付けられた状態で戻って来たらしい。 「…いったい、どんな奴なんだ…桜木龍一。」 上司から渡された書類に目を通し、溜め息と一緒にそんな言葉が漏れた。 書類に記入された情報は年齢15歳、住居は中央1区内。とだけで、役に立たない。 添付してあった写真を見れば、大きな楽器ケースを背中に背負った長身の赤銅色の髪の男。 とてもじゃないが、あれ程残虐な事をするようには見えない。 『非常に危険だが、女性の君にこの件を任せる事になった。宜しく頼むよ。』 今回のこの件に対し、上司達が会議に会議を重ねて出した結果として、私…流星エレンに桜木龍一の暗殺を任命してきた。 今までの結果報告を見ていれば、生存率はかなり低い。 「任務なんだ…やってやるさ。」 そう呟き書類をグシャリと握り締めた。 久々の恐怖心と高揚感に身震いする。 そして私は、お気に入りの銃と渡された偽造の中央1区のパスを持って組織を後にした。
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