2009年 夏 Ⅱ

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しばらく、僕と謎の女の間に長い沈黙が流れた。 僕はその間、必死で頭の中を整理した。 だけど、必死で考えても、やっぱり意味が分からなかった。 「いやいや。俺、独身で、法律でもまだ結婚できない17歳の男ですけど……」 「だから、貴方の未来の妻。私、十年後の未来から来たの」 やばい。 この人頭おかしい。 美人なのが勿体無いくらい頭がおかしい。 未来から来た?  僕の妻? 彼女の言動が痛すぎて僕の頭まで痛くなってきた。 「何これ? 新手の宗教勧誘?それとも新手の結婚詐欺? 一つ言っとくけど俺、金持ってないし、うちの親父も安月給のサラリーマンで金持ってないから、絞りとるお金なんかないぞ」 「やっぱり信じないか……。まぁ、私も自分で言ってて馬鹿な事言ってるとは分かってるよ。でも、事実だからしょうがないじゃん」 彼女は少し寂しそうな顔で、苦笑いをした。
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