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人気のない駅前で、一人の男が手持ちぶさたにしていた。
男の名は安藤慶一。歳は二十代の半ばで、定職にはありつけていなかった。
とにかく何か職を。
そんな焦燥を抱いていたのは確かだが、今待ち合わせている相手の話は一体どこで持ちかけられたものだったか──。
そんな過去へと思考を巡らせたところで、待ち人が現れた。
「お待たせ致しました」
背後から声をかけられて、思考を途切れさせた安藤が振り返る。
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