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「私達は人でないものを相手にすることが多々ありますので、ときおり不可思議な事も起こるでしょう。ですが、あなたの仕事には関わりのないことですから気にする必要はございません」
涼子の言葉を理解するに時間がかかる。いや、理解したところで、それを呑み込むかどうかは別問題だ。
「もちろん身の保障は致しますわ」
それだけ言うと固まったままの安藤を置いて、今度こそ部屋を後にする。いつもの淡々とした彼女のまま。
──何だあの女。
身の保障などと物騒なことを言われては心中穏やかではない。
しかし、提示されていた給料と待遇を考えると、この職を手放すのは惜しい。
――どうする?
しばらく、ぐるぐると混乱する頭を抱え、葛藤していた。
しかし結局、安藤は涼子の不吉な言葉を深く考えるのを止めて金を選んだ。
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