十代

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次の日、アサコは俺に大きめで厚めの封筒を渡してきた。 封筒の膨らみ具合から、すぐに中身も想像がついた。 アサコ「…はい。先輩。」 俺「昨日はありがとな。美味しかったよ。でもホントに持ってきたんだ😃」 ア「先輩が聞きたいって言ったんでしょ!😍」 俺「そうだっけ?」 ア「ひっどーい😞じゃ持ち帰りますよっ」 俺「うそうそっ😃ありがたくお借りしますって!」 ア「いいよ。あげますっ!😍ダビングしてきたからっ…」 中身は120分カセットテープと便箋が一枚。ラブレターには分量が物足りないなと思いつつ、便箋に目を通す。 それはカセットテープの中身について、詳細を書いていたものだった。 A面 ①6歳の発表会「(曲目)」 ②7歳の発表会「(曲目)」 ③8歳の発表会「(曲目)」 : : ⑩15歳の発表会「(曲目)」 おいおい……今まで全部の発表会の曲を録ってきたのかよ… B面は私が一番好きなアーティスト松田聖子さんのアルバム「Strawbery times」を録りました。先輩も好きになって下さいね。 って…俺が松田聖子は難しいだろう… だが嬉しかった。 彼女の歴史を一部でも知ることが出来たこと。 彼女が普段聴いている曲が分かったこと。 彼女との共通の話題が増えたこと。 俺はラブレター以上に効果ある手紙をもらったようだ。 そして俺はアサコに惚れてしまったようだ。 「でも…これ明らかにスペルミスだよな。(笑)」 型だけでなく、英語も居残る必要があるのかな? その晩から俺は毎晩、同じテープを繰り返し聴いていたものだった…
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