十代

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結果を言えば、俺がインターハイに出ることは叶わなかった。 型決勝 埼玉県5位 組手団体戦 埼玉県ベスト8 組手個人戦 埼玉県ベスト16 最後の大会における自身の組手戦績8勝1敗 この惜敗は後輩たちが一年後に雪辱を果たしてくれた。 こうして俺の夏は終わり、次の戦いの場は大学受験となった。 大会後、俺とアサコは微妙な関係で保たれていた。 部活を引退してからも、時折道場に顔を出してはコーチとして部員を指導していたし、そうでなくても放課後の教室に残り、受験勉強をしていた。 部活が終わる時間からしばらくすると、アサコが声をかけてくれるので一緒に帰ることにしていた。 傍目から見れば、付き合っているように映ったことだろう… だが二人は互いの心を明かしてはいなかった。伝えることが何故か出来なかった。 「先輩…前の喫茶店、寄って行きません?😞」 「ん?いいよ😌」 店に入り鈍感な俺はようやく気付いたのだが、お茶を誘っておきながら、アサコの表情はどうも曇っている。 何か言いたげだが会話が途切れ途切れになり、どうにも読めない。 俺「どうしたん?今日、お前暗くないか?」 アサコは悩んでいたようだった。今の二人の関係と…新たに現れてきた登場人物との関係に… アサコは俺の後輩…空手部の次のキャプテンに告白されたことを告げた。
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