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俺は胸ポケットからマイルドセブンを取り出し、火を点けた。🚬
味がしない…
美味しくない…
今ならタバコもやめられるかもな……なんてまるで関係のない事を思った。
アサコ「先輩…それ、もらってもいい?」
アサコは咥えていたタバコを優しく俺から奪った。
俺「お前、吸ったことなんてあったっけ?」
アサコ「無いよ😌 先輩と違って真面目だもん。」
俺「じゃ…やめとけって…あ!」
アサコ「(す~っ)
げふぉっ!!けほっ!けほっ」
思いっきり苦い顔でムセる。
俺「だから言ったのに…😞」
アサコ「だって先輩が今、何を考えているか分かるかなって思ったんだもん😞」
俺「…んで…分かったの?」
アサコ「苦い~ってことは分かった😌」
俺「味じゃないかよ(笑)」
アサコ「そ。先輩の味😌」
アサコの目には涙があった。
可愛いな。やっぱ。
俺は自分の決断が揺らぎそうになった。
俺「あのさ。一つお願いしてもいいかな?」
アサコ「何?」
俺「握手しよっか」
アサコ「え?」
なんで握手?って顔をしながら素直に右手を出してきた。
俺は彼女の右手を、そして彼女の左手をも引き、両手で両手を包み込むようにして握手した。長い間…想いを込めて握手した。
泣きそうだった。
無言で微笑み、彼女の両手を温めた。
やがて俺は手を放し
「またね」と告げ、彼女と別れた。
帰り道…俺は松田聖子のStrawberry times を口ずさんでいた…。
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